ウインターカップ2021 第74回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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福岡県

2021年11月19日

 今年、福岡県のウインターカップ出場枠は男女ともに2チーム。これはコロナ禍で九州ブロック大会が中止となり、登録校数の最も多い福岡県に九州ブロック枠が与えられたためである。

写真提供:バスケット・カウント/福岡県バスケットボール協会

 ウインターカップ福岡県予選は準決勝が10月31日に行われ、男子は福岡大学附属大濠と福岡第一が、それぞれ100点ゲームで勝利し全国出場を決めた。ただ、敗れた中村学園三陽と八女学院も強敵相手に貴重な経験を積んだ。中村学園三陽は強豪・中村学園三陽中出身の選手が多く在籍し、今大会はインターハイ予選4位の宗像を99-96で下して価値ある4強入り。八女学院は長身留学生を擁し、ディフェンシブな福岡第一から75得点を奪った(75-103)。福岡県を長くけん引する“2強”に割って入るか、今後が楽しみなチームだ。

 11月3日に行われた男子決勝戦は、すでに全国出場を決めているとはいえウインターカップのシードを懸けた重要な一戦。なおかつ因縁のライバル対決とあって白熱の展開となった。入りは互いに硬く、開始約2分間は無得点。ただ、福岡第一は佐藤涼成の3ポイントシュートで先制し、轟琉維の得点などでリードを広げる。一方の大濠は、果敢にアタックするもののシュートを決め切れず、2クォーターには一時11- 26と15点ビハインド。だが岩下准平が連続3ポイントシュートで流れを変え、前半ラストで湧川颯斗がバスケットカウントを獲得。28-30と、一気に2点差に迫って試合を折り返した。
 後半が始まると、大濠は開始2分半の無得点で再び点差を広げられるが、泉登翔のバスケットカウントなどで再び盛り返して一時1点差に。それでも、福岡第一は我慢の時間帯に耐え、堅いディフェンスで再び7点リードに広げて最終クォーターへ。追い付きたい大濠だが攻撃が単発となって反撃の糸口をつかめず、60-69で試合終了となった。
 夏は大濠に1点差で敗れてインターハイ出場を逃した福岡第一。「我慢の毎日でした」と井手口孝コーチが振り返るように、その後もコロナ禍でチーム練習や練習試合が満足にできず、加えて今大会はキャプテンの早田流星がケガで出場できない状況だった。それでも、佐藤と轟の2ガードを軸に、伝統の堅守速攻で見事リベンジ。悲願の優勝を果たした。
 一方、敗れた大濠は、岩下と湧川を中心に組織的なバスケットを展開するも、終始シュートの精度が上がらず。それは今年のインターハイ、中部大学第一との準決勝でも見えた課題であり「まだまだインターハイの課題を克服し切れていないことを痛感しました」と岩下。今回の敗戦で危機感を強め、さらに決定力を磨いて冬の決戦に挑む構えだ。

写真提供:バスケット・カウント/福岡県バスケットボール協会

 一方、女子も男子と同日程で行われ、準決勝では福岡大学附属若葉と東海大学付属福岡が、それぞれ福岡第一と精華女子を破って全国出場を決めた。福岡第一は、今大会初のベスト4進出。若葉に55-61と肉薄するなど、近年飛躍的に力を付けている注目チームだ。また、精華女子も今年のインターハイ予選で準優勝だった実力ある伝統校。惜しくも全国出場は逃したが、上位 4 校は非常に実力が拮抗していたと言える。
 女子決勝は前半から接戦が続いたが、先に抜け出したのは若葉。力強いディフェンスを仕掛け、攻めては加藤愛香のジャンプシュートなどで前半を42-35とリードした。その後も東海大福岡の大黒柱、197cmのファール アミナタを4ファウルに追い込むなど試合を優位に進める。11点差で入った4クォーター、アミナタを中心に追い上げを図る東海大福岡に一時4点差まで詰められたが、1年生の東紅花やキャプテンの中嶋そらが、勝負強い3ポイントシュートを決めて逆転させない。そのまま逃げ切り、81-72で勝利した。
 インターハイ県予選に続いて優勝を飾った若葉。3年生の加藤や1年生の東を中心に走るバスケットを展開し、勝負強い3ポイントシュートを要所で決め続けた。ウインターカップでも堅いディフェンスからの速攻、そして高確率の3ポイントシュートで上位進出を期待したい。また、敗れた東海大福岡も今大会での課題を糧にしながら、高さとアウトサイドのコンビネーションを武器に、全国舞台で力を発揮したいところだ。

写真提供:バスケット・カウント/福岡県バスケットボール協会

 決勝戦は、入場制限有り ( 各チームに入場券を200枚ずつ準備 ) とはいえ有観客で実施され、会場のアクシオン福岡は大いに熱を帯びた。それは大会役員や各チーム関係者が協力して感染症対策を徹底した結果だろう。また、Softbankのライブ配信、KBCテレビの生中継等によって、全国の多くのファンが注目の戦いを見守った。ハイレベルな予選を制した福岡県代表チームは、ウインターカップでも大いに躍動するはずだ。

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