岡山県
2021年11月19日
新型コロナウィルスの感染状況が今のように落ち着かない夏から初秋にかけて、岡山県の高校バスケットシーンは、やや不安定だった。というのも、県の方針により公立高校を中心に大会の約1ヶ月前になるまで部活動ができなかったのだ。岡山県のウインターカップへの道のりは、まず9月中旬からの地区大会があり、その後10月末からの県大会へと移っていく。そのためすでに県大会からの出場が決まっているチームは活動休止期間が長くなるため、公平性が保てないのではないかという意見もあったようである。むろん命に関わることでもあり、方針には従うのだが、新型コロナウィルスの影響はそんなところにも現れていた。
それでも県大会が近づくにつれ、県内の感染状況も落ち着き、制限も緩和され始めたため、保護者や親族に限定した上での有観客でウインターカップ予選を開催。大会参加者の健康チェックシートや観戦者の一覧表を作成するなど、考え得る対策をおこない、大きなトラブルなく大会を終えられた。
そのウインターカップ岡山県予選を制したのは男子が関西、女子が倉敷翠松である。関西はウインターカップ初出場、倉敷翠松は2年連続17回目の出場となる。
写真提供:山陽新聞社 / 岡山県バスケットボール協会
関西は県新人大会、インターハイ予選に続いての岡山県制覇。エースの戸坂透也を中心に据えながらも、攻守においてバランスのよいチームで悲願のウインターカップ出場を決めている。前年まで3年連続でウインターカップに出場していた岡山商科大学附属は決勝戦で敗れている。しかしインターハイ予選の決勝では関西に31点差の大敗を喫しているが、今大会ではわずか2点差と肉薄。彼らの夏から冬にかけての努力が縮めた”29点”に現れているといっていい。
写真提供:山陽新聞社 / 岡山県バスケットボール協会
女子の倉敷翠松は高さのあるアイエビ ドゥン グレイスを軸に、周りの選手も攻守に渡って彼女をサポートしながら、大会を勝ち進んでいった。8年ぶりの出場となったウインターカップ2020では初戦敗退という悔しい結果に終わったが、その経験が今年度にもしっかりとつながっているのだろう。準優勝の就実は、インターハイ予選で3位に沈むなど今年は苦しんだが、最後は堅守速攻を武器に決勝まで勝ち上がるなど、強豪校としての意地を見せている。
写真提供:山陽新聞社 / 岡山県バスケットボール協会
上記の男女ファイナリストに加え、男子の岡山工業と岡山学芸館、女子の岡山学芸館と作陽は、B3に所属するトライフープ岡山のホームゲームと共同開催で準決勝、決勝を戦っている。これは岡山県としては初の試みでもあり、B.LEAGUEのコートを使用して試合ができたことは、彼ら、彼女らにとって、勝ち負けとは異なる思い出深いゲームとなったはずだ。
ウインターカップの出場する両校は、今夏のインターハイで初戦敗退という悔しさを味わっている。夏からどれだけステップアップしているか。存分に練習の成果を示してもらいたい。