いつもここから
2021年12月22日
日常を世界基準に ―― 日本バスケットボール協会は掲げているキーワードの 1 つである。それは単に男女日本代表や B.LEAGUE、Wリーグなどのトップレベルに向けたものではない。すべてのカテゴリーがその意識を持つことで、日本のバスケットをより強く、より魅力的なものにしていこうと考えているのだ。
真の高校日本一を決める「SoftBank ウインターカップ2021 令和 3 年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会 (以下、ウインターカップ2021)」が明日開幕する。舞台はメイン会場となる東京体育館と、駒沢オリンピック公園総合運動場体育館。
本日22日 (水)、開幕に先立って、東京体育館で代表者会議が開かれた。そこではまずウインターカップなどの返還式と連続出場校の表彰がおこなわれ、各諸注意の前には前回優勝校のキャプテン ―― 仙台大学附属明成高校の丹尾久力選手 (写真右)と、桜花学園高校の朝比奈あずさ選手による選手宣誓がおこなわれた。
「まだまだ新型コロナウィルス感染症が収まらないなか、大会を開催してもらえることに改めて感謝します。私たち選手一同は、大会関係者のみなさんや、今まで支えてくださった方々への感謝を胸に、バスケットボールに対する熱い情熱を常に持ち、一戦一戦、最後の一秒まで全力で戦います。コロナの出口に向かって、着実に歩みを進めているなか、このウインターカップを見てくださる多くの方々へ、高校生らしいひたむきなプレーで、勇気や感動を与え、バスケットボールで日本を元気にすることをここに誓います」
力強く、聞いている側も気持ちが熱くなるような宣誓だった。
「2連覇できるのは明成だけ。でも初心に戻って、チャレンジャー精神で、しっかり戦っていきたいです。インターハイ以降は、チーム力を高めることに力を注いできました。どんな練習でもみんなで声をかけあって、団結していくことで、昨年の先輩方みたいに優勝ができると思います」
代表者会議終了後、丹尾選手が意気込みをそう語れば、朝比奈選手も自信をのぞかせる。
「このウインターカップに向けて、チームで一生懸命練習してきたので、それを全部出し切れたらいいなと思っています。今日、東京に入ったのですが、昨日の練習も『明日から出発だ』とみんなで盛り上がってやることができたし、チームとしてもこの大会に向けて、焦点を合わせてやってきているのですごくいい雰囲気でできています」
しかし、勝負の世界は何が起こるかわからないものだ。これまでのウインターカップでもいくつもの波乱が起き、思わぬ涙を流した選手たちが数多くいる。
むろん負けて得られるものもある。いや、負けて得られるもののほうが人生においては大きいのかもしれない。歴史家の網野善彦も「負けた人間にしかわからないことのほうが、むしろ人間にとっては大切な問題がある」と言っている。だからこそ明日から本格的に始まる現地レポートでも敗者にスポットを当てることはあるだろう。
一方で勝って得られることがあることも忘れてはいけない。彼らの日々の努力が結果に結びついたとき、何物にも代えがたい感情が芽生えるはずだ。その喜びがまた次のステップに向けての大きな自信になる。
ステップ・バイ・ステップ ―― 日常を一段一段昇っていくことで世界基準は近づいてくる。
ウインターカップ2021で彼ら、彼女らは勝利に向かって、ひたむきにコートを駆け回るだろう。それでいい。やってきたことしかコートには出ない。ならば積み重ねてきた日常をコートの上で出すだけだ。結果はあとかついてくる。
始まりはいつもここから。