ウインターカップ2021 第74回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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熊本県

2021年12月20日

熊本県の方針で各学校8月下旬から9月末まで部活動ができない期間があった。中には自主練習すらできない学校もあり、9月に予定していた1年生大会を11月に延期。また、ウインターカップ予選も選手のコンディションを考え、当初の予定を延期して開催することになった。

男子1位となった九州学院は優勝候補の筆頭。ここ数年選手層が厚くなり、今大会で6連覇を達成した。キャプテンの山下力也を中心とした伝統の堅実なディフェンスとファストブレイクで、1クォーターは自らのミスから熊本工にリードを許す場面も見られたが、終わってみれば115-74と圧勝に終わった。
2位の熊本工は県インターハイ予選の準々決勝で惜敗し、今大会第6シードだったが、ガード藤本颯真、フォワード上西川原大地、センター志垣欧典の各ポジションに柱を擁して決勝進出。1クォーターは九州学院のオールコートプレスを突破し、相手のミスから得点にしてリード。しかし、相手の徹底したディフェンスにリズムを狂わされ、また藤本がファウルトラブルで出場時間が制限されたこともあり、徐々に点差がつき敗退した。
3位は慶誠と熊本国府。慶誠は昨年までの最高成績がベスト8だったが、新人戦からベスト4に入り、今後県内の強豪校に割って入るポテンシャルを持っている。熊本国府は第2シードの熊本第二を破り、3年ぶりにベスト4進出。長身選手はいないものの、エースの荒木優を中心に、豊富な運動量を武器に最後まで走り切るチーム。

ウインターカップに出場する九州学院は小柄な選手が多く、機動力と多彩なセットプレーを駆使し、名のある強豪を倒してきた。昨年度のウインターカップ1回戦で能代工(現能代科学技術)を撃破した試合は記憶に新しい。その試合でもチーム主力だった山下がリーダーシップを発揮し、ゲームをコントロールし、勝利へ導く。エースの藤村悠大の出来が上位進出のカギを握る。また、2年ながら196センチの門川太一、201センチの大橋翔大らの成長も楽しみだ。
田中洋平コーチは戦術面の指導力が高く、戦術の理解を選手に求め、常に考え、状況を判断してプレーができるまで徹底して練習を行わせている。3年連続ベスト16進出を果たしているため、今年のウインターカップの舞台ではベスト8以上の結果に期待がかかる。

九州学院は他の部活動も盛んで、陸上駅伝部は全国常連校である。また東京オリンピック金メダリストとなった野球の村上宗隆(東京ヤクルトスワローズ)の出身校でもある。私立の高校ではよくあるスポーツ特待生制度もなく、また外国人留学生もおらず、日々の練習と田中コーチの手腕でここまで成果を上げているチームである。

一方、女子1位の熊本商は、新人戦からウインターカップ予選までの県内大会全てで優勝し、県内大会4冠を達成。決勝は熊本国府と対戦したが、序盤から主将の梶原菜々美を中心に激しいディフェンスからの速攻、前田紫音、田尻有香の3ポイントシュートで一気に試合の主導権を握って優勝した。
2位の熊本国府は、県高校総体決勝で前半20点リードしながらも後半、熊本商に逆転を許して敗退した雪辱を今大会で果たそうと意気込んで臨んだ。エース澤田留衣のインサイドと大田美桜の3ポイントシュートなど、バランスの取れたチームである。決勝ではエースの澤田にボールが入らず、またアウトサイドシュートも単発に終わり、ペースを握ることができなかった。
3位は慶誠と尚絅。慶誠は男女アベックでベスト4に入り。高さを武器にリバウンドを制して準決勝まで進出してきた。準決勝では、熊本商を相手に3クォーターまで接戦を繰り広げたが、4クォーターで一気に熊本商に走られ、涙を飲んだ。尚絅はベスト4の中で一番小柄チームだが、足で守り、ルーズボールに食らい付き、ハードワークを身上としたチームである。準決勝でも熊本国府の高さにディフェンスをチェンジングしながら必死に食い下がったが、4クォーターで力尽き、敗退となった。

ウインターカップ出場の熊本商は豊富な運動量とどのチームにも負けない持久力で、全ての大会を優勝してきた。夏のインターハイに8年ぶりに出場し、3回戦のベスト16まで勝ち進んだ。その経験が選手たちの自信となり、チームとしても成熟してきた。キャプテンの梶原菜々美のドライブと前田の3ポイントシュートを武器に、前半競り合っても後半走り勝つスタイルで今大会ベスト8以上の結果を目指す。
薮崎史監督は納得いくまで練習を重ね、連取量ではどこにも負けない自負がある。また選手の特徴を理解し、適材適所に役割を持たせ、試合の流れを読み取り、的確なベンチワークで勝利をものにしてきた。

熊本商は「日本一の商業高校へ~志高く、恕と信頼の人づくり~」を教育目標とし、市内でも人気のある学校。特色ある学校行事として「熊商デパート」を行っている。生徒が主体となって取り組む販売実習で、仕入、販売、会計、電算処理、広報活動など商業の科目で学んだ知識を実践する場で、地域住民も楽しみにしている行事である。

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