ウインターカップ2021 第74回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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沖縄県

2021年11月18日

 沖縄県からウインターカップ2021に出場する美来工科(男子)と西原(女子)は、ともに県下の強豪の一つとして知られるチームだ。美来工科は今夏のインターハイ予選決勝で71-89の敗北を喫した相手だった豊見城を、今予選の決勝では76-73で倒し、16年ぶり9回目の王座に就いた。女子は初出場を目指し決勝に進出した小禄を西原が85-61で破り、4年連続10回目の県予選優勝を果たした。

写真提供:沖縄県バスケットボール協会

 今回の県予選はCOVID19の影響を非常に強く受け、緊急事態宣言の長期化に伴い公共施設の借用がかなわなくなったことで、当初予定 (9月第1週に開幕して第2週目終了)を1か月後ろ倒しして行われた。選手達の練習再開が可能となったのは大会2週間前。時間制限や対外試合禁止などの条件下、どのチームも満足に準備できないまま実戦に臨まざるを得なかった。
 そのため、 特に1・2回戦では本来の力を発揮できないチームが多かった。また、無観客開催だったため、同じ部活動内に所属しながら大会の雰囲気や空気感を全体として共有する機会がなかったのも残念であった。美来工科と西原は、そうした県内の全チーム、全関係者の思いを背負い、沖縄県代表としてウインターカップに出場する。

 男子予選を勝ち上がった美来工科は、新チーム移行後の2つの県大会(昨年11月の県新人、今年1月の小橋川寛杯)で優勝したが、インターハイ予選では冒頭に記したとおり決勝で豊見城の前に屈した。しかし現在は、上背こそないものの非常に機動力に優れたチームに仕上がっている。中心となるのは、主将としてチームを率いるポイントガードの島袋王鳳と、点取り屋の上間玖龍。島袋のゲームメイクや個人技、上間のディープスリーと突破力が存分に発揮されれば、本大会で上位進出も期待できる。

写真提供:沖縄県バスケットボール協会

 宇地原尚彦監督にとっては、全国の舞台で初めて指揮を執る機会となる。選手との間に築いた厚い信頼関係を土台に、初の大舞台でまずは1勝を目指し、心身とも充実したチーム状態に仕上げ本番に臨んでいくだろう。
 今年の男子予選は、美来工科と豊見城が実力的に抜けていた印象だ。スタイルとしては、両チームとも全国に比較してサイズはないものの、スピードと磨き上げられた合わせのコンビネーションを武器に、他チームを寄せつけない強さがあった。この2校に加え、インターハイ予選、ウインターカップ予選ともベスト4に名を連ねた興南とコザにも有望な1・2年生がおり、次年度に向けてもさらなるレベル向上が期待できる状態だ。

写真提供:沖縄県バスケットボール協会

 女子予選を勝ち抜いた西原は、昨年11月に行われた県新人大会の優勝チームだ。しかし同大会決勝の那覇商業戦が1点差(77-76)だったことを見ても、圧倒的な存在ではなかった。
 西原はその約2か月後の今年1月に行われた小橋川寛杯では、猛練習を実らせ4強の決勝リーグにおける3試合すべてに2ケタ点差で勝利し、優勝。ところがインターハイ予選では、コロナの影響で主力の3年生全員が出場できないという非常事態に直面してしまう。2年生たちの奮闘で決勝リーグを2勝1敗の三つ巴まで持ち込んだが、優勝した小禄に60-78で敗れたことが響き、準優勝に甘んじることとなった。
 こうした道筋を経て迎えたウインターカップ予選は、どこが勝ってもおかしくない戦いであったが、結果的には3年生が最後までチームに残り戦いきった西原が優勝した。

写真提供:沖縄県バスケットボール協会

 4年連続出場の西原は、インターハイ出場を逃した夏の悔しさをぶつける大会だ。キープレーヤーの一人は、知名祐里(現Wリーグ・シャンソン化粧品)を姉に持つエースポイントガードの知名梨里亜。昨年のウインターカップから主力としてチームを牽引しており、高校最後の戦いに向け、武器であるミドルレンジでのジャンプシュートに磨きをかけている。また、2年生エースの中村望愛も注目の存在だ。中村も1年生だった昨年の大会から主力として経験を積んでいる。上背はないがペイントでの巧みなステップワーク、リバウンドからそのままドリブルで速攻を作っていけるスキルがある。
 金城末美監督は全国大会でチームを率いるのが初めて。本番に向け、技術面を充実させることはもちろんだが、経験豊富な選手達をメンタル面でうまく導き、本来の力を引き出すことが勝利へのカギになるだろう。

写真提供:沖縄県バスケットボール協会

 沖縄の高校女子バスケットボールは、実力の近いチーム同士が上位でせめぎあってきたが、現在は西原が頭一つ抜け出た状況に変わってきている。しかし、今回の予選に1年生チームで臨み、北谷、糸満を破ってベスト4に勝ち上がったKBC学園未来、有望選手が残る小禄、那覇、那覇商業などが勢いを増して追いかけてきそうだ。そうなれば県内のレベルアップにいっそう拍車がかかることだろう。

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