兵庫県
2021年12月15日
男女ともにウインターカップ1枠を懸けて争われた県予選は、ともに夏のリベンジを果たしたチームが代表権を勝ち取った。
男子代表となったのは、ウインターカップ初出場の神戸村野工業。昨年までの兵庫県は、現在日本大学で活躍するコンゴロー・デイビッドと丸山賢人、同じく京都産業大学で活躍する宇都宮陸の3本柱を擁した報徳学園が支配。一時代を築き上げた。
今夏のインターハイ予選でもテーブス流河を起点とした報徳学園は、決勝リーグ3連勝で4年連続のインターハイへ。一方、このウインターカップ予選で初優勝を飾った神戸村野工業は、夏は決勝リーグにすらたどり着けていない。決勝リーグに出場する4チームを決めるブロックトーナメントの決勝で、育英に敗れたためだ。
しかし、今大会では快調に勝ち進み、準々決勝で神戸科学技術を8点差で撃破。準決勝では夏の覇者・報徳学園を劇的なブザービーターで下して決勝進出を果たしたのである。
逆の山から勝ち上がったのは夏に23点差の大敗を喫した育英。今大会の優勝候補の本命に挙げられるチームへのリベンジマッチの舞台が決勝戦で訪れたというわけだ。
試合は神戸村野工業がリードする展開で進んでいく。しかし、第1クォーター中盤から育英がディフェンスの強度を上げると、フィジカルなゴール下や3ポイントシュートなどで一気に逆転。15-20で第1クォーターを終えた。
ビハインドを負った神戸村野工業だったが、第2クォーターは井手上祐樹のドライブで先制すると、続けてキャプテンの宮下敦貴がタフな3ポイントシュートをねじ込むなど連続7得点で逆転。以降はやられたらやり返す両チームのつばぜり合いが続き、前半は39-36で神戸村野工業がわずかにリード。
後半に入ると育英がリードを奪い返し、神戸村野工業は得点が停滞。しかし、一貫してきたゾーンディフェンスで育英に簡単な得点を許さなかったことが最終クォーターで実を結ぶことに。この第4クォーターで、神戸村野工業は育英に9得点しか許さず、オフェンスでは宮下の独壇場に。リバウンドからそのまま持ち込んでレイアップ、ジャンプシュートにフリースローと次々に得点し、最後は宋髙志がフリースローをきっちりと決め切って64-61で勝利。夏のリベンジを果たした。
神戸村野工業には決してスター選手と呼べるような選手はいないが、キャプテンの宮下をはじめ、コンスタントに得点を重ねた井手上、最後のフリースローを沈めた宋など、チームバスケットを体現する実力者が多い。
初めてのウインターカップでも、県予選を勝ち抜いた勢いで躍動してもらいたい。
一方の女子決勝も、夏のリベンジマッチとなった。決勝の組み合わせは三田松聖と市立尼崎。インターハイ予選では共に決勝リーグで2勝を挙げたが、直接対決で勝利した市立尼崎が本戦出場権を獲得していた。
今年度の兵庫女子勢は男子以上に混戦模様で、夏にはインターハイに出場した市立尼崎を宝塚西が6点差で下しており、2位となった三田松聖も神戸龍谷に2点差(87-85)の苦勝、夏に続けての対戦となったこのウインターカップ予選準決勝でも7点差と、決して決勝の2チームが磐石な強さを誇っていたわけではない。
迎えた決勝戦、大きなリードを取ったのは三田松聖。試合開始直後から選手全員が積極的に足を動かしたディフェンスで相手を翻弄すると、オフェンスでもミスの少ないパス回しから着実にスコア。その結果、市立尼崎がこのクォーターで取った点は僅か4点で、フィールドゴールは1本しか与えなかった。第2クォーターに入ると自分たちの得点も停滞してしまうが、引き続きディフェンスでは崩れず、前半を終えて25-13。
後半に入っても森本愛彩のドライブインから石岡莉采がインサイドで合わせるなど、抜群の連係を見せた三田松聖が試合をコントロール。市立尼崎は思うようにオープンなシュートを作り出すことができず、三田松聖・平田まどかが3ポイントシュートを決めた時点でスコアは43-20と、この試合最大の23点に。
その後も流れが変わらぬまま時計が進みタイムアップ。最後までプレーの強度を落とさなかった三田松聖が、市立尼崎をわずか37点(三田松聖は53点)に抑える見事な勝利で2年連続のウインターカップ進出、そして夏のリベンジを成し遂げた。
このウインターカップ予選では、準決勝と決勝を有観客とした兵庫県。いずれも会場の収容人数に対して50%を上限とする制約はあったものの、ポストコロナ時代に向けても収穫のあった大会となったはずだ。