茨城県
2021年12月15日
ウインターカップ予選を制し、茨城県代表の座を勝ち取ったのは男子・土浦日本大学、女子・明秀学園日立だ。
写真提供:茨城県バスケットボール協会 U18部会
男子の土浦日本大学は昨年のウインターカップでも出場権を獲得したが、新型コロナウイルス感染症の影響で辞退と余儀なくされ、大会参加は2年ぶり。今夏のインターハイ予選では粘り強いディフェンスを武器に戦うライバルのつくば秀英に対して、第4クォーターで試合をひっくり返され無念の敗退。そうした経緯があるからこそ、全国大会にかける並々ならぬ決意があるはずだ。
今大会では準決勝までを危なげなく勝ち上がると、決勝で再びつくば秀英と激突。この試合では序盤からアグレッシブなディフェンスを仕掛け、インサイドで朝日海安が得点すれば、司令塔の宮内柊人もアグレッシブなペイントアタックからファウルを獲得し、フリースローで加点。オールコートでキャッチアップしたディフェンスもうまくハマり、開始早々から14-0のランを展開。バランス良く点を取ってくるつくば秀英を試合開始から約5分間、無得点に抑え込んだのだ。
一方のつくば秀英もファーストポイントとなった3ポイントシュート以降、徐々にオフェンスのリズムが良くなってきたが、土浦日本大学のオールコートディフェフェンスを突破するまでには至らず、第1クォーターで26-15と土浦日本大学がリード。第2クォーターでもさらに点差を広げ、前半で17点の差が付いた。
後半は39-35(土浦日本大学がリード)とほぼ互角の戦いを演じたことや夏の戦いを見ると、両者の実力差は点差ほどない。この試合では立ち上がりで流れを呼び込んだ土浦日本大学が、夏の反省を生かしてそのまま逃げ切った形だ。
現時点では決勝を戦った2校が突出した力を持つ茨城男子勢だが、オフェンシブなタレントをそろえる常磐大学や、今大会ベスト4だった県立校の水戸工業など、力のあるチームが多い。特にベスト8以上には県立校が多く顔をそろえ、上位2校の後を追いかける。
写真提供:茨城県バスケットボール協会 U18部会
一方の女子は群雄割拠の時代が訪れようとしている。今大会で優勝し、ウインターカップ本戦の出場権を獲得したのは明秀学園日立。2年ぶりの出場となる同校はスターターに170センチ代の選手が3人と県内では屈指の高さを誇り、アウトサイドからもキャプテンでエースの原田華怜が鋭いドライブとジャンプシュートで加点。加えて2年生の長谷川蛍が司令塔としてゲームをコントロールしつつ、得点源としても活躍する。
今大会の準決勝では1年生の清水姉妹(瑠莉、瑠奈)を軸に初のインターハイ出場を果たした新興勢力の下妻第一を3点差で撃破。インターハイ予選では9点差で敗れていたライバル校を破り、前回大会優勝の土浦日本大学が待つ決勝戦へ駒を進めた。
この試合、序盤にペースを作ったのは土浦日本大学。激しいディフェンスから積極的に走り、第1クォーターで11点のリードを作る。一方の明秀学園日立はなかなか波に乗れずにいたが、第2クォーターに入るとディフェンスから息を吹き返し、木村から1年生の鈴木花音へのハイロー、長谷川のジャンパーなどで一気に5点差まで詰め寄ると、このクォーターでは逆に11点差の19-8。互いに35点ずつを取り合い、試合は後半戦へ突入。
後半に入っても接戦は変わらず。多くの時間帯で土浦日本大学が一歩リードしていたものの、1、2ポゼッション差を争う好ゲームが続く。第4クォーター序盤で一時8点差を付けられた明秀学園日立だったが、長谷川がタフなレイアップとゴール下を連続でねじ込んで同点。その後もリードチェンジが続いたが、残り11.4秒にキャプテン原田が自ら切れ込んで決勝点となるレイアップを成功。土壇場で試合をひっくり返した明秀学園日立が、劇的勝利で本戦出場権を勝ち取った。
敗れた土浦日本大学は夏冬ともに決勝でわずかに及ばず、非常に悔しい1年に。しかし、終盤の戦いぶりは見事なものだったと言える。近年の茨城女子勢は土浦日本大学、明秀学園日立、竜ヶ崎第二が上位を占めることが多いが、今年度はインターハイ予選を制した下妻第一なども台頭。ベスト8以上はかなりの混戦模様で、上位陣とて油断できない勢力図となっている。
写真提供:茨城県バスケットボール協会 U18部会
新型コロナウイルス感染対策から、今回のウインターカップ予選も無観客でも実施となった茨城県。ただ、コート上では3年生だけでなく、下級生の活躍も目立つ好ゲームが展開され、来年度以降にもつながる実りある大会となったことだろう。