古豪から強豪へ…我慢強く戦ってたどり着いた21年ぶりの舞台
2021年12月27日
「SoftBank ウインターカップ2021 令和 3 年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は大会 5 日目。冬の大舞台に 4 年ぶり13回目の出場を果たした県立小林 (宮崎) は、男子準々決勝で帝京長岡 (新潟①) に68 – 87で敗れた。前半まで37 – 39とほぼ互角の展開で食らい付いたが、後半は引き離され、「勝ちを意識してしまったのか、自分たちの足が止まってしまい、そこを帝京長岡さんにしっかり突かれてしまいました」と石川祐二コーチは反省の弁。
ただ、県立小林にとってメインコートは21年ぶりだ。 2 回戦では後半に巻き返して桐光学園 (神奈川) を87 – 85で下すなど、接戦を勝ち抜いて誇れる 8 強入りを果たした。好成績の裏にあったのは、「古豪から強豪へ」という強い思い。かつてはインターハイやウインターカップで準優勝した歴史を持つ県立小林だが、近年は全国的に私立校が台頭してきたこともあり、なかなか全国上位に進めなかった。「周りから古豪、古豪といわれていたので、私は選手たちに『古豪ではだめなんだ。古豪から強豪になる、そのきっかけを作れるのは、君たち 3 年生しかいないんだ』と言っていました」と石川コーチ。
今年のインターハイは、自分たちの力を出しきれないまま 1 回戦敗退に終わった。ただ、「あの悔しさがあったからこそ、キャプテンを中心にみんなで頑張ることができたのだと思います」と、雪辱への強い思いがチームのエネルギーに。また、チームを大きく変えたターニングポイントが、ウインターカップ県予選の決勝だ。延岡学園に第 3 クォーター終了までリードされる展開だったものの、苦しい時間帯に耐え抜いて逆転勝ち。キャプテンの# 4 森永歩夢いわく、「全員で最後まで諦めずに戦って、試合をひっくり返すことができた。その経験は自信になりましたし、そこからチームが接戦でも集中力を切らさず戦えるようになりました」とのこと。
こうして、我慢強く戦うことを学んだ選手たちは、迎えたウインターカップでも初戦から苦しい試合を勝ち抜いた。ベスト 8 進出を懸けた3 回戦では、留学生を擁する八王子学園八王子 (東京②) に第 1 クォーターこそ 7 点のビハインドを負ったが、そこからばん回して結果的には94 – 75で快勝。それは県予選の学びが大いに生きた形であり、さらに今大会で試合を重ねながら確実に成長してきた証しだった。石川コーチは「たった 1 試合でもガラリと変わるので、『これが高校生か』と正直驚きました。全国大会の 1 試合で、100日分の練習をしたくらいに得るものが多かった」と選手たちの成長に目を細める。
準々決勝を終えて「あと 2 試合、このチームで戦いたかったですね」 (石川コーチ) と悔しさがにじんだ県立小林だが、我慢強い戦いを披露し、大会に爪痕を残したことは間違いない。「古豪から強豪へ復活する、きっかけを作ってくれたと思います。 1、2 年生には来年、先輩たちが残してくれた財産が大きいだけに、もっとハードに頑張ってほしい。もう古豪と言われるのは悔しいですから」と石川コーチ。現 3 年生の背中を見て多くを学び、貴重な経験を積んだ後輩たちが、来年もまた高みを目指して挑戦していくに違いない。