3年生の成長曲線が引き寄せた初めての夢舞台
2021年12月26日
「SoftBank ウインターカップ2021 令和 3 年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子 3 回戦。明日からのメインコートを懸けて各チームが熱戦を繰り広げる中で、岐阜県代表の富田もその一校として奮闘していた。
相手は予選でインターハイベスト 8 の北陸学院を破って勝ち上がってきた金沢。ここまで自慢のディフェンスから司令塔の #5 高橋快成を起点にハイスコアなバスケットを展開してきた富田に対して、金沢はその起点となる高橋を徹底マーク。
前半こそ、38-32と富田がリードして折り返したが、「高橋のオンボールスクリーンが多くなってしまい、攻撃のバリエーションが少なくなってしまったことで、相手としてはポイントの絞りやすいオフェンスになってしまいました」と、村田竜一コーチが振り返るように徐々に単発なオフェンスが増え、逆にリバウンドやスティールから金沢に速攻を決められる場面も。ディフェンスでも、相手のパスをディフレクションする場面こそあるが、なかなかボールを奪うにはいたらなかった。
本来のリズムを失ったチームは53-62で迎えた第 4 クォーター最初の 7 分間でわずか 3 得点。逆に金沢に18得点を許し、その差はこの試合最多の24点に。最終スコア68-88で敗れた。
「ベスト 8 を目標に掲げて、初出場でチャレンジャーとして戦ってきたのですが、いざ目標のベスト 8 が目の前になったら欲が出てきたというか、怖くなったというか。少し硬くなってしまったという印象があって、僕自身もタイムアウトや選手の交代のタイミングを迷ってしまった」と、村田コーチは悔いる。
それでも、インターハイ、ウインターカップともに初出場と、チームの歴史を作り上げ、前者は 1 回戦突破、後者はメインコート目前まで迫った。そんな 1 年間は本当に実り多き期間だったはずで、その礎となった 3 年生に対して村田コーチは「今年の 3 年生が入学してきた年の東海大会は、1 回戦で負けています。そのときも今日 (金沢戦) のようなゲームで、持ち味を発揮できない負け方をしてしまったんです。そこから考えると……このウインターカップは本当に僕らにとっては “夢の舞台” で、毎日が成長、勉強の日々でした。特に 3 年生の 3 年間での成長曲線はすばらしいもので、それは彼らが夢をあきらめずに日々積み重ねてきた結果。本当に 3 年生には感謝したいです」と、その成長と努力に感謝の言葉を惜しまない。
高橋も「僕は全国で勝つことを目標に富田に入学してきて、過去の先輩たち先輩の思いも込めて自分たちが歴史を作れたことはよかったですし、チームメイトに感謝したいです」と、その思いを口にした。
ゼロから「1」を生み出すことほど難しいことはない。この 1 年間で富田の選手たちが生み出した「1」が、チームにとっては新しい歴史の始まりとなる。村田コーチは言う。
「これが第一歩になると思いたいです。下級生たちも 3 年生の背中を見ているので、こういう舞台にもう一度立つという明確な目標ができました。ここからだと思います、本当に。この財産をムダにしないように、3 年生からもらった財産を大切にこれからも頑張っていきます」